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2009/04/30

査読

午前中は学生と打ち合わせ.まずは,不確実性下での通行権取引制度について,最適な容量を決定するための試行錯誤プロセスが最適解に収束することを確認.直感的には単体法の解法に対応すると思ってるんだけど,どうなんでしょう.そこまで出来たら HKSTS と 土木計画学には出せるんじゃないかな.

残った時間で論文査読.

午後は他研究室の学生からもらった研究指導計画書を確認したり,外出したり.

2009/04/29

固定金利下での元利均等返済乗数

X円の借金をT年かけて返済することを考える.期間中の金利rは変化しないとする.T年間毎年x円を支払い続けることの現在価値がX円に等しくなるには,xが

を満足する必要がある.従って,毎年

だけ払い続ければ,T年で借金を完済できる.

ここで,Xの乗数をいくつかの金利rと返済期間Tについてあらかじめ計算しておくと便利である.

2009/04/28

リテラシゼミ,研究指導計画書

今年度からリテラシゼミというのをやることにした.目的は以下の3つ.
・客観的な事実と主観的な意見に基づき,論理的な文章を作成する技術.
・自分が理解している内容を,決められた時間内で他人に理解させる発表の技術.
・建設的に質問し,質問に対して的確に答える技術.

そんなん大学院まで行って今さらやることじゃないよ,という声も聞こえてきそうではある.しかし,きちんとした工学修士を出すためには,こういう技術は必要不可欠である.この主張には誰も反対すまい.そして,こういう技術を持たない学部卒業生が増えている以上,大学院できっちり身につけさせなければならないはずだ.仕事が無い人に「勤労と納税は国民の義務だよ」と言うのではなく,仕事を見つけてあげるのが大事なのと同じだ.

具体的に何をやるかというと,まず,文章を書く技術については,
・事前の準備.発表者(各回3名程度)は好きな本を一冊読んで,それに関する「何らかの文章」をA4用紙1枚に書く.
・ゼミ当日,発表者の作成した文章を全員に配布する.全員,数分でそれを読み,「文章の中で重要と思われる部分」や「判り難い部分」に印をつける.
・全員が順番に「重要と思った部分とその理由」を述べ,都度,発表者の意図を確認する.必要に応じて「どのように記述すれば重要な主張を読者に認識してもらえるか」を議論する.
・同様に「判りにくかったその理由」を述べ,都度,発表者の意図を確認する.必要に応じて「どのように記述すれば判りやすくなるか」を議論する.
・適宜,教員が「この文はこういう点が優れている」「この文はこうすれば良くなる」などをアドバイスする.
というゼミを全員が発表者になるまで繰り返す.

発表者にとっては,自分の文章がその場で「判らん」と言われたり,修正されたりするのは精神的にキツい.だが,それが却って「次はいい文章を書きたい」という向上心に繋がる.そのため,文章の良かった点はどこか,悪かった点をどう直せばいいかを具体的に示すことが大事.

発表者以外にとっては,文章をその場で読み,重要な点と判らない点を素早く拾い上げる能力が身につく.もちろん,発表者がツッコまれてるのを聞いてる内に,判りにくい文章とは何か,どう直せば判りやすくなるのか,が判るようにもなる.

次に,発表技術については,
・事前の準備.発表者(各回2~3名程度)は,自分の好きな(あるいは興味ある)スポーツのルールを調べ,それを5分間で説明するプレゼンテーション資料を作成する.
・ゼミ当日,5分(時間厳守)で発表し,参加者全員に「判りやすかった」「判りにくかった」を挙手させる.
・「判りにくかった」に手を挙げた参加者に「どの点が判りにくかったか」を述べさせ,発表者に回答させる.
・「判りやすかった」に手を挙げた参加者に「なぜ判りやすいと感じたか」を説明させる.
・適当な数の学生に意見を聞いた後「どのような点に注意すれば判りやすいプレゼンになるか」について議論させる.
というのを全員が当たるまで繰り返す.

発表者は膨大なルールを5分以内にまとめるために内容をどう絞るか,どういう順で話すべきかを一所懸命考える.実は,このプロセスこそが判りやすいプレゼンに必要不可欠.

質問者にとっては,大抵のスポーツのルールはある程度知っているだろうから「無知だから質問できない」という気持ちにならずに遠慮なく質問できる.回答者も「知らないから答えられない」ということはないので,きちんと質疑応答になる.

このリテラシゼミは助教時代に思いついたもので,神戸大で一回だけやったことがある.その年の学生は,自分たちでお互いの文章やプレゼンをチェックするようになってくれた.電通大でも同じことができるかどうか.

2009/04/27

MS投稿

Management Scienceは,投稿する際,著者自身が 6人の reviewer を推薦しなければならない.当然,現在の所属とかメール・アドレスも自分で調べないといけない.論文を書くことよりそっちの方が時間が掛かったりする.「この人こんな論文書いてたんだ」とか「こんな学会あったんだ」とかなるから.

2009/04/26

4/20-24 の記録(まとめ書き)


4/20
東北大でゼミ講師.進化ゲーム理論関係の勉強会のアイデアを得る.

4/21
神戸大で開催された国際ワークショップ「Transport Hazard Mitigation」で発表.

4/22
神戸大で長江スクール研究打ち合わせ.勉強会について朝倉先生,井料先生の協力を得られることを確認.

4/23
研究指導計画書の第1案を提出.勉強会で読む論文リストの案を作成.

4/24
長江スクールの論文チェック.留学生の奨学金の推薦文.勉強会のリスト&方針修正.データが届くが学生が居ない…



劉君情報:6/1 18:30-20:30 @ 早稲田大学一橋キャンパス.
日本リアル・オプション学会共催.

森平先生による不完備市場における価格評価モデルの展望と,その問題点,応用の実例,可能性,リスク管理などの議論らしい.行きたいな.
http://www.realopn.jp/pub_2009/pub_2009_ex2.htm

2009/04/17

確率論

大偏差原理を少しでも理解しようと2冊くらい読み始めたが,数学か物理(かその両方)で数ページで撃沈.熊谷 隆「確率論」をちょっと読んでみるが,limsup, liminf あたりで凹む.

http://www.amazon.co.jp/dp/4320017315

2009/04/16

引越説明会,会議,談話会,懇親会

午前中は引越し説明会.壁一面の本棚を入れたいんだけど,お金も時間もない…

午後は教授会と談話会.話題提供者は田原先生(ソフトウェア工学).時相演算子とか,経路演算子とかの概念は面白いんだが,厳密性のためには総当たりのシナリオ・テストが不可避,ということになっているようで,そこは食指が動かない.

夕方から懇親会.佐藤先生と東北大の話で盛り上がったり,吉永先生とバトルしたり.

2009/04/15

げほっげほっ

午前中は IBS で所要時間の平均-分散基準を用いた経路効率性評価に関する打ち合わせ.まずはリンク本数が2桁くらいの小さいネットワークで試してみよう,ということに.やはり実データを使えると学生のモチベーションが上がるようだ.

午後,HKSTS の extended abstract 2本を投稿.どっちか通るといいなぁ.

夕方は明治大GCOEのセミナーに行きたかったのだが,喘息っぽいのがヒドくなったので医者に行ったら間に合わなくなってしまった.無念.

夜,研究指導計画書の作成を各学生に指示.

2009/04/14

げほげほ

ここ数年,杉花粉が終わったくらいから喘息のような症状が出ていた.ネットで調べたらどうやらヒノキのようである.

午後,新入生と雑談.リアル・オプション,資産価格評価,リスク測度を統合した定量的評価手法の確立を目指す.2年じゃ難しいだろうけどね.

夕方から教務委員会.

2009/04/13

学生配属

本年度は2名が配属された.思い立って Large deviation principle の本を読むも挫折.

2009/04/10

会議

教務委員になって最初の会議.短く終わらせようと念入りに準備したはずなのに,結局長引いてがっくり.
読むのもイヤだった査読論文へのコメントを書いてて更にイヤになってしまう自分がイヤでがっくり.

2009/04/09

数理ファイナンスセミナー

OR学会研究部会の数理ファイナンスセミナーに出席.

宮原先生の convex risk measure の話:
1. utility indifference price が加法性を満足するような効用関数は指数型のみ.
2. いくつかの条件の下で time-consistent な risk measure は再帰的 entropic 関数のみ.

今まで exponential や log-sum 関数は便利だ,とは思ってたし誰かがもう研究してるだろう,とは思ってたけど,「加法性やtime-consistency などの望ましい性質を満足する関数はこれしかない」というのは大変魅力的な主張.土木学会に発表したきりの研究に再度チャレンジするチャンスかも.

藤原さんの楠本近似の話:
積分曲線上の歪んだメッシュで離散近似(メッシュがズレた時はスプライン補間)することで精度が格段に上がる,という研究.2変数に対しても,ADI 法(変数ごとに陽差分と陰差分を繰り返す)と同様の方法で計算量を爆発させずに精度を確保できるらしい.American option は一旦Bermuda option にしてから価格を計算するとのこと.

メッシュが歪んでたって最適性条件が一般化相補性問題になることに変わりはないわな.
ちょっとやってみるか.

2009/04/08

Extended abstract

今日は花粉が酷い.

HKSTS用の extended abstract が完成.

最近,XMind というソフトを使っている.これはなかなかイイ.
http://www.xmind.net/

明治大の MAS セミナーに行きたかった…
http://nnrds.math.meiji.ac.jp/activities/seminar/MMA/2009/01.html

2009/04/07

教務関係,研究室訪問

午前中は教務関係の仕事.

午後から研究室訪問.修士3名(内1名は内定済),研究生1名.

HKSTSの extended abstract がなかなか進まない…

2009/04/06

入学式

桜満開の入学式.

中庭で明らかに本学関係者ではなさそうな親子連れの方々が静かに,のどかに花見をしている.一方で,クラブの勧誘のために本学の学生が騒音を鳴らしている.下手な生演奏は仕方ないとして(自身も経験あるし),趣味の悪い音楽を大音量でかけることに何か意味はあるのか?

そんな光景を見て思いついたんだが,日中あるいは夕方,小さいお子さん連れが安心して過ごせる場所・空間を国立大学が提供する,というのは面白いビジネス・モデルではないだろうか.

小さい頃に遊んだ場所が,20年後には学舎(まなびや)となり,さらに10年後には自分の子供を遊ばせる場所となるなんて空想は楽しい.地域貢献もできるし,歩きタバコやゴミのポイ捨てを抑制する効果もあるかも?あ,でも怪我でもしたら大変か.

本日は研究室を訪問する学生も,明日の説明会・訪問を申し込むメールも,皆無.
新入生が一人も来なかったらどうしよう.

2009/04/03

研究室訪問

5名(うち2名は他研究室が内定)の新入生の訪問を受ける.
応募者多数で競合した場合にアピールするポイントを聞いておくのを忘れてしまった…

2009/04/02

中間発表

ボロボロでしたなぁ…

<反省点>
・スライドを当日の朝に見せられても「散って来い」としか言えない.
・発表&質疑応答がトレーニングできていない.発表形式のゼミを取り入れるべきか.

2009/04/01

研究室ガイダンス

午前中は新年度の研究室行事に関する打ち合わせ.基本的にスケール・メリットがあるものとリテラシに関するものは合同で,それ以外は研究室単位で.合宿はM2, M1, 班ゼミをそれぞれ時間短縮して全部やるのが原案.昨年度の英語ゼミの代わりにリテラシーゼミを設ける.英語ゼミは研究室ごとで基礎理論などを題材に.

ガイダンスは昨年の反省を活かしたつもり:時間を短くし,魅力的なキーワード(だけ)が前面に押し出されることがないようにしてみた.高度なことを求める学生には稚拙に見えたかもしれないが,それが私の「身の丈」だと思うことにしよう.

中間発表は時間が7分と短い.モデルの詳細に踏み込む時間はない.
・背景
・問題意識
・目的
・先行研究と本研究の関係
・何をどんな方法で{解く, 明らかにする}のか,それが社会にどんな貢献をもたらすか
・今後どのような計画で進めるか
を平易な言葉で logical に話してくれればいいはずなのだが,学生にはそれが難しいようである.