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2007/10/02

自分の論文読み直し,打ち合わせ

無差別価格について,あまりにも赤松・長江(2004)の内容を忘れているのでもう一回読み直す.やっぱりMusiela and Zaripohpoulou (2004) とよく似てるなぁ.
違う点は,

  • 我々はmartingale測度(i.e. 確率割引ファクタ)を明示的な未知変数としているが,彼らは与件としている.
  • 我々は無裁定原理と相対エントロピー制約下でのオプション価格最小化問題の双対問題として効用最大化ポートフォリオ問題を導いているが,彼らは効用モデルのみを扱っている.
  • 我々のモデルではオプション価格が「リスク回避性向を反映して歪めたペイオフの,ある種の等価martingale測度の下での期待値」確実性等価,あるいは「確実性等価からある種のヘッジ費用を減じたもの」として求められるが,彼らのモデルは効用無差別価格が martingale 測度の下での確実性等価として求められる.
  • 我々は1つの危険資産と1つの非市場資産を考え,両方が幾何Brown運動に従う場合にのみ解析解を求めたが,彼らは,非市場資産が伊藤過程に従う場合の解析解(Feynman-Kac解ではあるが)を求めている.
などなど.

夕方,喜多先生,学生と打ち合わせ.学生に意見を求めているのに沈黙してしまうと,無言の時間が続き,大変辛い.しかし,そこで教員が色々喋ってしまうと,学生が,自分で考え意見を述べることの面白さと大変さを経験できない.教員の都合だけで学生の貴重な機会を奪うことは極力避けたい,と思いつつ,20時過ぎてしまったので,「家でゆっくり考えておいで」と言ってしまった.